公募要綱(素案)
今、広島市民球場が移転したことにより、広島市中央公園が大きく変貌しようとしています。戦後復興のシンボルであった旧市民球場も9月1日に閉鎖され、年内には解体が始まる予定です。隣接する広島商工会議所も移転の検討を進めています。
跡地には緑地広場を中心にした賑わいの場を目指して、2013年春の全国菓子大博覧会を目標に整備されることになっています。
しかし、広島市中央公園には何か魅力に欠けているように思えます。中央公園全体のビジョンがないため、折角、図書館・美術館・体育館・科学館・ホール等が集積しているのに、公園全体の統一したメッセージが伝わってきません。
中央公園の各エリアのつながりが希薄で、平和公園とも相生通りで分断されています。
唯一、平和記念公園の設計コンペで当選した丹下健三氏が1950年に、設計コンペ案の概念を更に発展させた「広島平和都市建設構想案」(右図)を提案しています。
今でも有識者の中には、この丹下構想案に近づけるべきであるという意見が多くあります。
今一度、「広島平和記念都市建設法」の精神に立ち返り、広島都市圏として広域的に街づくりを捉え、その中心に平和公園と中央公園を位置付け、平和と文化を世界に発信する拠点として整備する必要があるのではないでしょうか。
- 課題
- 趣旨 1949年に「広島平和記念都市建設法」が制定され、広島平和都市建設事業として中央公園も段階的に整備されています。
- 現在の広島市の旧市民球場跡地利用計画は参考にする程度とする。
- 応募要領
- 応募資格
・特になし。一人でもグループでも応募は可能とする。 - 応募規定
・提案用紙のサイズはA4版縦置きとし、4枚以内とする。
・提案内容は文章及びそれを補完する図案等(着色可)で表現する。図案等はコンセプト図・イラスト・図面・写真(コピー可)等、自由とする。
なお、評価はコンセプト、最もアピールしたい空間のイメージ図、全景イメージ図に重点を置く。
・別紙にタイトル・住所・氏名・年齢・職業・電話番号・FAX番号・メールアドレスを明記し、添付する。
・提案用紙に応募者の氏名又は氏名が特定できるような表示は記載しない。 - 応募宛先及び問合せ先
・広島の建築を良くする会(仮称)事務局アイデアコンペ係
住所 〒733−0002 広島市西区楠木町1丁目9番7号
問合せ先メール takig.779.sin@knd.biglobe.ne.jp - その他
・応募作品は未発表のものに限る。
・応募作品等の公表に関する権利は主催者が保有する。
・応募作品は返却しない。 - 締切り
・平成23年6月頃(持参の場合は午後5時まで、郵送の場合は当日消印有効) - 全体スケジュール(素案)
・応募要項発表 平成23年3月頃
・応募作品受付 5月〜6月
・第一次投票 6月
・第一次投票結果発表 6月
・公開プレゼンテーション 7月
・第二次投票及び結果公表 7月 - 審査方法 基本的に市民の有志の投票により、2段階方式で入賞作品を選定します。
- 賞金
- 最優秀賞 1点 50万円(税込み)
- 優秀賞 3点 各10万円(税込み)
- 主催 広島の建築を良くする会(仮称)
- 後援(予定) 広島県・広島市・(社)広島県建築士会・(社)広島県建築士事務所協会・(社)日本建築家協会中国支部広島地域会・(社)日本建築学会・他
- 協賛 ・団体協賛は1口20.000円(税込み)からとします。
この地に最も相応しい公園を求めて
1957年に市民球場が公園内に完成、その後、県立体育館・広島市立中央図書館・ひろしま美術館等の文化的な公共建築が順次整備されました。
1978年、公園の北側に高層の市営基町住宅が完成し、公園内の老朽化した木造公営住宅を撤去して芝生広場が整備され、ほぼ現在の中央公園が形成されました。
中央公園は原爆ドームを挟んで平和記念公園と向かい合い、一角が原爆ドームの世界遺産のバッファゾーン(緩衝地帯)に含まれています。
原爆ドームを中心に据えて平和記念公園と対峙できる空間であり、広島市民として世界に誇れる空間とすることが望まれます。
現在進められている旧市民球場跡地整備のような理念のない近視眼的なアプローチから一度離れ、長期的な視点に立って、2050年の広島市中央公園のあるべき姿(ビジョン)を求めることにしました。
「広島平和記念都市建設法」の第2条に謳われている「恒久の平和を記念すべき施設その他、平和記念都市としてふさわしい文化的施設の計画」を具現化するために、この中央公園をいかなるコンセプトを持って整備したらよいか提案をいただきたいと思います。
多くの方々の参加をいただき、素晴らしいアイデアが生まれ、全市民的な議論が深まることを願っております。
まず応募者の提案作品を展示及びインターネットに掲載して、市民の有志の投票により5点程度を選定します。
次に選定された者による公開プレゼンテーション及び質疑応答を行い、市民の有志のうち会場参加者の投票結果により入選作品を特定します。
・個人協賛は1口1.000円(税込み)からとします。
なお、個人協賛をいただいた市民の有志には、審査における投票権(1票)を付与します。
雑感
(前回の公募要綱素案に対する意見)
前回の「旧市民球場跡地利用アイデアコンペ公募要綱(素案)」に対して以下のような意見がありました。
・市民参加型のアイデアコンペは、市民に対する問題提起としては意義があるが、いかにして全市民的な盛り上がりを作るかが大きな課題である。
・志を同じくする人達のネットワーク作りが先決で、その上で実施の可能性を見極める必要がある。
・アイデアコンペなら細かな条件をつけず、コンセプトとアイデアだけを募る方が趣旨に合っている。
・その他
以上、貴重なご意見ありがとうございました。どれも正論であり、その方向で検討を進めたいと思います。
国際建築家連合(UIA)東京大会が来年9月25日〜10月1日に開催されます。その大会を記念して10月2日に広島でシンポジューム「被爆100周年の都市広島を考える」等のイベントが計画されています。
東京大会のテーマ「DESIN2050」は2050年を念頭に置きながら、現在を考えようという趣旨です。
広島においては、2045年が原子爆弾被爆100周年で、2049年が「広島平和記念都市建設法」制定100周年に当たります。
広島のシンポジュームでは、この法律に謳われている「恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設する」という都市づくりの理念について、議論されることになると思います。
前回の「旧市民球場跡地利用アイデアコンペ公募要綱(素案)」は広島市の整備イメージを凌駕する案を導き出して、市が設計コンペに方向転換せざるを得ない状況を作ることが狙いでした。
しかし、市の担当部局の態度はかたくなのようです。あまり目先のことばかり考えても埒が明きません。
今回は球場跡地エリアではなく、中央公園全体を対象に長期的な視点に立ってアイデアを募り、2050年の中央公園の姿をみんなで描いていけるきっかけを作りたいと思います。
そこで、今回の公募要綱(素案)に対して皆さんのご意見をいただければ幸いです。なんとか盛り上げて、UIA東京大会広島イベントにつなげていければと願っています。
(2010.9.15 記載)