広島の建築と空間を良くする会(素案)

上空写真
中央公園上空写真
(市の報告書より)

前回の「広島市中央公園2050アイデアコンペ公募要綱(素案)」に対しては、概ね賛同の意見をいただきました。
具体的にどう進めるかが問題です。主催者をどうするか?協賛金をどうやって集めるか?等々、現在仲間と知恵を絞っています。
まずは主催者の「広島の建築と空間を良くする会」(仮称)を設立しなければなりません。当面は有志による任意団体としてスタートさせ、アイデアコンペが成功裡に終わった暁にはNPO法人(特定非営利活動法人)に移行する予定です。
ここでは、「広島の建築と空間を良くする会」(仮称)の骨格(素案)を提示することにより、皆さんの意見をお聞きしたいと思います。

設立の趣旨

広島の町も時の流れと共に移り変わっていきます。戦前までの城下町としての行政中核都市と軍都の顔を持った町も一発の原子爆弾で大半が廃墟と化しました。
戦後の復興も目覚しく、応急的な簡易建物から始まり、そのうちビルが乱立し、そのビルもそろそろ建替えの時期を迎えています。変化していくことは自然の成り行きですが、広島の町として望ましい方向に変わっていかなければなりません。

1957年に竣工した旧市民球場も老朽化のため2005年に移転が決まり、2009年には新球場が建設されました。移転決定後から本格的な跡地利用の検討が進められましたが、その跡地利用計画も市民の理解が得られているとはいえません。
跡地利用計画におけるこれまでの経緯をみていると、広島市当局の場当たり的な対応に愕然とする思いがします。広島市はこの地に対して確たるビジョンを持ち合わせていないように見えます。

広島市は戦後復興において「広島平和記念都市建設法」という大きな夢を掲げていたはずです。そのことを広島市の職員さえ忘れているぐらいですから、市民にもほとんど理解されていません。
そこで、もう一度この法律の精神を取り戻し、その精神を広めていく必要性を痛感しました。

我々有志は、「広島の建築と空間を良くする会」(仮称)を設立し、広島の主に公共的な建築を吟味して改善提案等を行うことにより、「広島市を平和記念都市として建設する」という都市づくりの理念の具現化に寄与しようとするものです。
事業の第1弾として、被爆100年の広島市中央公園のあるべき姿(ビジョン)を求めるアイデアコンペを実施することにしています。
市民参加型のアイデアコンペを実施することにより、市民と共に広島の建築のあり方を問い直し、広島の建築文化を高めるムーブメントを起こしたいと思います。

「広島の建築と空間を良くする会」(仮称)の活動の目標は、広島の建築文化の向上、健全な町づくり、国際平和への貢献、等々広く公益に寄与するものとします。

目的

「広島平和記念都市建設法」に謳われている「恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設する」という都市づくりの理念に基づき、「恒久の平和を記念すべき施設その他、平和記念都市としてふさわしい文化的施設の計画」を具現化するために、広島の公共的な建築等について吟味し、改善提案等を行います。

それらの活動は、広島の建築文化を高めることにより健全な町づくりに寄与し、その成果を世界に発信することにより平和と文化の発展に寄与することを目的とします。

活動

  • 公共的建築に関する資料の収集及び調査研究
  • ・広島の公共的建築の基礎データ等を収集・分析する。
    ・広島の公共的建築に対する市民のニーズ等を調査・分析する。

  • 公共的建築に関する教育普及
  • ・広島の公共的建築の現状と目指すべき方向性を提言する。
    ・研究成果等はメル・マガ、刊行物、講演会等により情報を発信する。

  • 公共的建築に関する助言又は支援・協力
  • ・調査研究等の成果に基づき、必要に応じて個別の公共的建築に対して助言等を行う。
    ・公共的建築のオーナー等からの要請があれば、助言・支援・協力等を行う。

  • 公共的建築の診断及び改修等に関する助言又は支援・協力
  • ・公共的建築のオーナー等からの要請があれば、建築の診断及び改修等に関する助言・支援・協力等を行う。


  • 公共的建築の性能評価及び審査・検査
  • ・公共的建築のオーナー等からの要請があれば、建築の性能評価・審査・検査等を行う。


  • 関係機関・団体との連絡・協調
  • ・必要に応じて関係機関・団体との連絡・協調等を行う。


  • 本会の事業に必要な資料の編纂及び刊行
  • ・本会の研究成果、事業の結果等は資料として編纂し、必要に応じて刊行する。


  • その他本会の目的を達成するために必要な事業

雑感

(アイデアコンペの実施)

アイデアコンペの実施自体はそんなに難しいこととは思えません。応募者もそれなりに集めることはできると思います。
今回の大きな課題は、アイデアコンペの審査を協賛していただいた市民にお願いすることです。協賛金を払ってでも参加しようとする市民がどの程度集まるかです。
このコンペの意義を広く市民に周知して、一人でも多くの協賛者を募ることができるかに成否はかかっています。
それでは、どうしたら多くの市民の注目を集め、興味を持ってもらえるのでしょうか。

(市民の立場から)

まずはアイデコンペのテーマが市民の興味をそそるものでなくてはなりません。今回の趣旨は、広島市中央公園の被爆後100年の姿を描いてもらおうというものです。
旧市民球場跡地計画について賛否が分かれ、市の事業の進め方に対する市民の不満がマグマのように溜められている現状において、潜在的な興味は十分に期待できるものと思います。問題はそのマグマを掘り当てられるかどうかです。

市民の琴線に触れて、その気になっても協賛金が負担になったり、手続きに手間がかかっては躊躇してしまいます。協賛金は低額に抑え、手続きも単純にする必要があります。今のところ協賛金は1000円程度を、入金は銀行振り込みを考えていますが、もっと簡便な方法があれば、ご教示願いたいと思います。

一般的な市民に公正で適正な審査ができるかという疑問もあろうかと思います。アイデアコンペに応募した提案内容を理解してもらえない人々に審査を委ねることは、提案者にとっても不満が残る原因となります。
しかし、一般市民が審査員であることが分かっていれば、応募者も分かりやすい提案をされるでしょう。評価基準等を事前に公表しておけば、審査する市民の方々も常識的に評価をされ、トータルとしては妥当な結果に納まるものと楽観視しています。

審査員として参加する仲間が周りにいれば、いろいろと議論しながら評価を下すこともできます。そのような盛り上がりのあるアイデアコンペにするためには、市民への積極的な呼びかけが必要です。マスコミとの連携等、金をかけずに市民への周知を図る方策を探っていかなければなりません。

(NPO法人の設立)

今回紹介している「広島の建築と空間を良くする会(仮称)」(素案)はアイデアコンペの主催者として有志が集まったものです。コンペを成功させるために知恵を出し合っています。
もしコンペに多くの市民が参加し、充実した提案がなされ、社会的にも評価されれば、その勢いを持って任意団体からNPO法人に繋げていきたいと考えています。

NPO法人といっても名ばかりのものが沢山存在しています。設立するのは簡単ですが、継続して事業を行い、社会に貢献しているNPO法人は少ないようです。
この会と類似した行動をしているグループもありそうです。横の組織との連携を取りながら、志を同じくする人達のネットワークを広げて、大きく束ねていける組織を目指して行かなければなりません。
時間をかけて事業の安定化を図り、広く市民に認知される組織に育つことを願っています。

*ちょっとコーヒーブレイク : 『広島を愛する人

  (2010.11.15 記載)
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