- Who(誰が) 基本的には建物の所有者が建物の維持保全を行います。自社ビルなら内部組織に保全担当を設けて日常的なビル管理を行います。不動産会社が所有する賃貸ビルも同様です。
- Why(なぜ) 建物本体も、中に組み込まれている設備も使えば、次第に傷んできます。その使い方が間違っていれば、早く壊れてしまいます。修理したり取り替えたりしなければなりません。
- When(いつ) 建物の完成・引渡しを受けてから解体・撤去までの間、ずっと維持保全をしていかなければなりません。施工者による工事が1年弱から数年の期間に対して、維持保全は数十年以上の長い付き合いとなります。
- Where(どこで) 建物の維持保全だから、建物の内部で行います。規模が大きくなると、設備機器等を運転管理するための中央監視室や通用口近くに守衛室(警備室等)を設置して、維持保全業務に携わる人が控える部屋を用意します。また、清掃用具入れやトイレットペーパー等の交換用品置場等のスペースも必要となります。
- What(何を) 維持保全の対象は大きく分けて建物本体と設備機器関係になります。
- How(どのように) 建物の維持保全の業務内容を整理し、維持保全計画を立て、実行できる体制を組むことです。予算を伴うことだから、どこら辺で折り合いを付けるかバランス感覚が問われます。
但し、最近は効率的な経営を図るためアウトソーシング(外部委託)が進んでいます。その場合は、ビルメン会社にビル管理のすべてを一括して委託したり、その一部を分けて委託したりします。
一般的には設備の日常的な運転保守業務等は内部に抱えて、警備業務や清掃業務等がよく外注されます。
なお、受変電設備やボイラーのような危険物を扱う場合には、電気主任技術者やボイラー技師といった国家資格等を有する者を配置することが義務付けられています。
物の特性をよく理解して、正しく取り扱うことにより、長持ちさせることが出来ます。結果として、イニシャルコスト(建設費等の初期投資額)とランニングコスト(維持管理費等)を合算したライフサイクルコストの軽減が図れます。
限られた資源を有効に活用するために、スクラップ・アンド・ビルドから既存建物を長持ちさせるストック重視に移行しています。
維持保全業務の中には、執務環境や安全衛生上、快適で安心して過ごせるように法律で定められた検査確認業務があります。広範囲にわたる業務を適正に、かつ効率的に行うためには、片手間ではなく、熟知したスタッフを揃えて本格的に取組む体制が望まれます。
予防的な保全を全くせずに、故障が起きてから手を打つことも出来ます。その場合は、建物の寿命が短くなるし、入居している組織に致命的な損害を与えることもあります。
人間も定期的に健康診断をして、悪いところを早めにチェックしながら悪化しないように用心をします。更に悪くなれば、薬の投与や手術等の治療を受けます。
健康に過ごせる幸せは、体を患って痛感します。人と同様に、建物に幸せな一生を送らせるためには、日頃からの養生が大切であり、その心が建物の維持保全の真髄です。持って生まれた建物の使命を全うさせるために愛情を持って接することにしましょう。
規模が小さくなると家庭に近づきます。家族で役割分担して、掃除や洗濯をしたり、ゴミを出したり、戸締りをしたり、痛んだところは日曜大工で修理したりします。家族で手に負えなければ、プロに頼みます。家とビルでは規模の大小の違いはありますが、建物の維持保全については基本的に同じです。
建物本体は構造部の点検と内外装の点検です。内外装の仕上は日常の清掃等で気がつきますが、構造体は仕上材で隠れている部分が多いので、専門家による診断が必要となります。
設備機器本体とそれに接続している配管等の点検は、日常的な設備の運転保守業務の中で異状を早めにキャッチし、手当てをします。安全や健康に関わる給水用の水質検査等は水道法やビル管理法等の法律で義務付けられています。
建物の美観を守るために内外装の清掃を定期的に行い、建物全体を保安するために日常的に警備を行います。
主な業務内容は清掃・衛生管理・設備の運転保守・建物の点検整備・警備等です。
維持保全計画書は実施方法を明文化したものであり、実施体制・責任範囲・点検箇所、時期、判断基準・修繕計画・資金計画等を定めます。
実施体制は維持保全の考え方に関する組織(会社)の責任者・維持保全を実施する責任者・常駐担当・非常駐担当からなり、緊急時の連絡体制を構築することが重要です。