公園施設の概要
- 全体を調整するコーディネーターが不在(広島市の役割か?)
- 1946年に都市計画決定、1950年以降整備スタート
- 南ゾーンは県立総合体育館等の公共建築他、北ゾーンは広大な芝生広場と広島城跡
- 敷地面積は約44ヘクタール(国有地)
- 管理運営は使用権利者単位
中央公園配置図
(市の報告書より)
建設の経緯
1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下され、この辺りに立地していた軍関係の施設はほとんど消失しました。
1946年に復興都市計画において中央公園も都市計画決定されたが、当面の住宅不足を解消するため応急的な公営住宅が建設されました。
1949年に「広島平和記念都市建設法」が制定され、広島平和都市建設事業として中央公園も順次段階的に整備されていきます。
1957年に市民球場が公園内に完成、その後、県立体育館・広島市中央図書館・ひろしま美術館等の公共建築が整備されます。
1978年に高層の市営基町住宅が完成し、老朽化した公営住宅を撤去した後に芝生広場が整備され、ほぼ現在の中央公園が形成されました。
主な公園施設について
- 市の施設
- 中央図書館・映像文化ライブラリー ・1974年開館。設計は山下設計、鉄筋コンクリート造3階建、延べ床面積は約9.300?
- こども文化科学館・こども図書館 ・1980年開館。設計は近代設計コンサルタント、鉄筋コンクリート造地上5階地下1階建、延べ床面積は約5.700?
- 青少年センター ・1966年開館。鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建
- 旧市民球場 ・1957年開場。設計は石本建築事務所
- ファミリープール ・1979年にオープンし、夏場は子供達で賑わっているが、他の季節は閑散としている。
- ハノーバー庭園 ・両市の友好親善のシンボルとして1981年に整備されたが、荒れ気味である。
- 中国庭園(渝華園) ・1992年に重慶市との友好都市提携5周年を記念して作られた庭園。場所が悪く、今のままでは孤立している。
- 芝生広場 ・年に数回のイベント等に利用されるだけで、日常は閑散としている。緊急災害時等の予備的なスペースとして扱われている。
- 中央テニスコート ・旧テニスコート場を解体し、1994年に地下駐車場と併せて再整備。
- 広島城跡 ・1958年の「広島復興大博覧会」に合わせて、広島城の外観を復元。1994年に表御門・平櫓・多聞櫓・太鼓櫓が木造で復元され、城郭らしくなる。
- 県の施設
- 総合体育館 ・1962年に建設された旧体育館等を解体し、アジア大会用に1994年完成。設計は日建設計、地上3階地下2階建
- 民間の施設
- ひろしま美術館 ・広島銀行が創業100周年の記念事業として1978年に開館。
- 商工会議所 ・慰霊碑・原爆ドームの軸線上の背景にあり、景観を損なっているため、移転する予定。
- PL教団 ・このエリアにある必然性は無い。
- 護国神社駐車場 ・原爆を被災するまで護国神社はこの地にあり、城郭内に移転後も土地の一部が残存。
広島市中央図書館
ひろしま美術館(パンフより)
県立総合体育館
広島市こども文化科学館
広島市青少年センター
旧広島市民球場正面
広島城
芝生広場(グランド部分)
渝華園
・築後35年が経ち、手狭で老朽化も進んでいる。改築又は建て替えの時期が迫っている。
・利用者も多く、各区図書館のセンター的役割を果たし、このエリアは適地。
・プラネタリウムを有し、こども博物館として人気あり。
・築後43年が経ち、施設的なほころびも目立つが、若者の表現活動の拠点として利用者から愛着を持たれている。
・新球場が誕生し、跡地利用が待たれる。長年、市民から親しまれただけに、一部保存が望まれている。
・長期的に残りうる風格のある存在。
・設計は日建設計、鉄骨鉄筋コンクリート造地上1階地下1階建、延べ床面積は約4.000?
・民間の施設ではあるが、公共性が高く、品格がある。
(以下の民間建物は中央公園エリアから除外)
問題点と改善提案
- 現状
- 文化的な公共建築群 ・図書館・美術館・体育館・こども文化科学館・青少年センター・旧市民球場等の文化・スポーツ施設が集中している。
- 環境護岸エリア ・本川沿いの基町環境護岸とのつながりを商工会議所・PL教団等の民間施設が遮断している。
- 芝生広場エリア ・護岸側の小高く盛土した芝生広場とお城側のグランドに二分されている。時々、子供連れの家族が芝生で寛いでいる光景を見る。
- 広島城エリア ・護国神社があり、初詣等の祭事には参拝者で賑わう。
- 問題点
- 公共建築の連携不足 ・各施設単位の管理運営がなされているだけで、せっかくの集積効果が発揮されていない。
- 環境護岸エリアが孤立 ・川辺のエリアと中央公園が護岸上の道路で分断されている。
- 芝生広場エリアが孤立 ・日常的な利用がなく、閑散としている。特に、このエリアにある渝華園は孤立感が強い。人気のない閉ざされた空間は危険性を感じる。
- 改善提案
- 中央公園のコンセプト ・中央公園のコンセプトを明確に打ち出し、その核となる施設を球場跡地に整備する。
- 公共建築等の連携 ・広島市がコーディネーター役を果たし、施設間のネットワーク化を図る。
- 環境護岸エリアとのつながり ・商工会議所ビル等の民間施設が移転した跡はオープンスペースとし、環境護岸エリアと中央公園の一体化を図る。
- 芝生広場エリアの機能付加 ・このエリアは緊急時の利用も想定した多目的スペースとし、グランド部分は球技等の運動場として活用する。
- 各エリアの一体化 ・道路で分断された各エリアは複数の地下連絡道を整備し、往来を密にする。特に、相生通りと城南通りの二つの幹線道路に幅広い地下連絡路を設けて、南北の流れをスムースにする。
・県立の体育館と民間の美術館以外は広島市の施設である。
・旧市民球場の高い外壁が視覚的にも心理的にも南側の中心街からのアクセスを阻んでいる。
・基町環境護岸と芝生広場はオープンスペースでつながっているが、一体的な利用は少ない。
・道路で分断されたり、垣根があったり、敷地境界の意識が強い。
・各施設がばらばらに建築されており、統一感に欠ける。
・各建物も川に対して背中を向けている。
・広島市のビジョンに掲げている「国際平和文化都市」の国際文化都市のコアとして、この公園を位置づける。
・国際平和都市のコアが平和公園であり、中央公園と一体となって国際平和文化都市の核が完結する。
・民間を含むこの地区内の施設の連絡協議会を設け、定期的に情報交換を行い、共同イベント等を開催して施設間の連携を強化する。
・その際、広島そごう・バスセンター・基町クレド等の民間の力を活用する。
・公共建築の長期建て替え計画を立案し、計画的に整備する。なお、建築協定のようなルール作りが必要である。
・球場跡地に文化のコア施設を配置し、周囲の公共建築をつなぐ機能を付加する。