- 発注者 「初めに建物ありき」ではありません。人が生活する上で、必要に応じて建物が求められます。会社を興して組織が大きくなれば、社員を収容する仕事場として賃貸ビルを探すか、自社ビルを建てる必要に迫られます。
- 設計者 設計者は発注者が要望する建物を具体的な形に図面化する作業を行います。プランニング(平面計画)をして、構造的な裏付けをし、設備機能を満足させます。
- 施工者 設計が完了すると発注者は設計図書を現実の形にする施工者を選びます。
- 機材・メーカー等 ゼネコンの下に専門工事業の職人が揃っても、建物はできません。建物は材料と道具を使って人が作ります。コンクリートの躯体を打つには生コンクリートや鉄筋・型枠等の材料が必要だし、その材料を現場に搬入し作業するためには重機等が必要です。その他、仕上げ材や設備機器等は工場で製作されたものを現場に持ち込んで据付ます。
- 建築主事等の行政機関等 設計図書が完成すると設計者は市の建築指導課等に建築確認の申請をしなければなりません。建築主事等は申請された建物が建築基準法や消防法等の法律をクリアしているか図面による事前審査を行います。確認済証が出なければ、工事の着工はできません。
オーナーは自社ビルを建てる時どうするでしょう?個人がマイホームを建てる時と同じです。まず資金が用意できなければ前に進みません。次に土地を探し、どこにどの程度の建物を建てるか構想を練ります。イメージが固まれば、それを具体化してくれる設計者を探すことになります。
オーナー(建築主、発注者)は建物の所有者であり、費用を負担する者をいいます。発注者は公共と民間に分けられます。国や地方自治体等に代表される公共の発注者は、税金で建設資金を賄い、建設を担当する部署と入居して建物を管理する部署に分かれています。一般的に予算を執行する部署が発注者の立場となります。
民間の発注者は個人と会社等の組織があります。更には、会社が自社の企業活動のために建てる場合とディベロッパーのように第三者に賃貸して利益を上げる場合があります。
一人の人間が全てのことをマスターできないので、専門分野に分けて協働作業を行います。全体を総合的に調整する立場が建築家の役割と言われています。
専門分野としては、大まかに建築設計(意匠、構造、積算)と設備設計(電気、機械)と工事監理(建築、電気、機械)に分かれています。
組織としては、大手の総合設計事務所、専門分野別の設計事務所、ゼネコンの設計組織、意匠優先のアトリエ系事務所等、多様な形態をとっています。
施工者は発注者と請負契約をする元請とその下請で成り立っています。元請はゼネコンと呼ばれ、下請は専門工事業者が担っています。建築、電気、機械をまとめてゼネコンに一括発注される場合とそれぞれ分離して発注される場合があります。
建設機械等は仮設の部類に入るので、ゼネコンの判断に委ねられるが、建築仕上げ材や設備機器類は設計図書に基づき、工事監理者の承認を得て製作に取り掛かります。
また、規模により工事途中の中間検査もあり、最終的な完了検査に合格し、「検査済証」が交付されて、初めて建物を使用することができます。