出演者
開演すると女性がピアノで「イマジン」を弾き始め、司会者が登場してコンサートがスタートしました。昨年は出演者全員が「イマジン」を歌ってスタートしています。
- JTK 広島クラシックロッカーズの主力メンバー丸子氏と石田氏にファブリックのジョン役中村氏が加わった3人組で、ジョンレノン・トリビュート・キッズ(ジョンレノン・チルドラン)と命名している。
- ドクター・ロバート 3回連続の出演。4人メンバーのうち3人が医者で、月2回程度の練習のため、お世辞にも上手とは言えない。
- 春秋分点 今回が初出場。女性のボーカルにギターとシンセの3人組で、事前にドラムとバックコーラスの音入れをしている。シンセサイザーによる効果音を多用する前衛的なバンドである。
- 並木ロックス 2回連続の出場。ボーカル担当の女性2人と男性1人は20代と若い。女性ボーカルはかわいらしく歌うことを目指しているという。
- 広島クラシックロッカーズ このコンサートを主催しているグループで結成10年という。ということは、このコンサートのために結成されたか?
- リッキーと助っ人(2人) リッキーのパートナー藤田氏は都合が付かなかったのか、今回は不参加。前半はウクレレを持ってリッキーが独演し、途中から地元のミュージシャン2人(キーボード奏者)が加わる。ウクレレ暦はまだ1年半位らしいが、本人は気に入っている様子。
- エンディング 最後は恒例の出演者全員が再登場して、観客と一緒になって歌う。今回はロック調の馴染みのあるヒット曲を選曲している。みんなが歌い易いからであろう。
ファブリックは実力派のコピーバンドで、自前のライブハウスを持っている。アコースティック・ギター2本とハーモニカの演奏に3人のボーカルが映える。即席ユニットとは思えないぐらいだ。
・演奏曲・・・「ラブ・ミー・ドゥ」、「ディス・ボーイ」、「イエス・イット・イズ」、「アスク・ミー・ワイ」
実力の程は本人達もわきまえていて、前座のつもりで舞台に立っているという。一生懸命にやっている熱意は感じるし、最後の「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」はボーカル2人のハモリがよかった。
・演奏曲・・・「ベイビー・イッツ・ユー」、「ドライブ・マイ・カー」、「テル・ミー・ワイ」、「ロング・アンド・ワインディング・ロード」、「レット・イット・ビー」、「ゲット・バック」、「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」
ボーカルの宙を舞うような音色はオノ・ヨーコの声に似ているか。最後の「トモロー・ネバー・ノーズ」は幻想的な大作であるが、観客に理解されたかどうか。
違和感を持つ人もいるだろうが、新風ではある。前向きに評価したい。
・演奏曲・・・「ノーウェア・マン」、「ハピネス・イズ・ア・ワーム・ガン」、「トモロー・ネバー・ノーズ」
最後の「オブラディ・オブラダ」は観客にもコーラスの参加を求め、一緒に楽しみたいという姿勢が見られた。年配の客が多いため、盛り上がるところまではいかない。応援団が多いようで、学芸会の雰囲気があった。
・演奏曲・・・「エイト・デイズ・ア・ウイーク」、「アイル・ゲット・ユー」、「オール・マイ・ラビング」、「アイ・コール・ユア・ネーム」、「キャント・バイ・ミー・ラブ」、「チェインズ」、「オブラディ・オブラダ」
メイン・ボーカルの石田氏はギターを抱えているが、飾りだと明かす。歌の方は声量があり、歌唱力もある。ギターを抱えていた方がバンドとしての体裁が整うのであろう。
ジョージ追悼の「ワイル・マイ・ギター・・・」はギーターソロも聴かせるし、丸子氏とのツートップのボーカルもグッドだ。最後に初演の「フリー・アズ・ア・バード」に挑戦する。
・演奏曲・・・「デイ・トリッパー」、「ペニーレイン」、「ストロベリーフィールズ・フォーエバー」、「ワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」、「フリー・アズ・ア・バード」
「ジョンとヨーコのバラード」からキーボードが参加する。キーボードの一人土屋(?)氏がジョンの息子ジュリアンの曲「バロット」、「ソフト・ウォーター」を歌う。聴いたことのない曲だが、「バロット」はジョンの曲風に近い。リッキーと土屋氏のツートップのボーカルもあったが、互いに遠慮し合っている感じは否めない。即席だからやむを得ない。
・演奏曲・・・「イン・マイ・ライフ」、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンド」、「マックスウエル・シルバー・ハンマー」、「ジョンとヨーコのバラード」、「バロット」、「ウォトエバー・ゲット・ユー・スルー・ザ・ナイト」、「ソフト・ウォーター」、「ビー・バッパ・ルーラ」、「スタンド・バイ・ミー」
歌い終えると、館内放送から「愛こそはすべて」が流れて解散する。「イマジン」のピアノ演奏で始まり、「愛こそはすべて」の放送で終わる。昨年まではこの2曲をみんなで歌おうとしたけれど、難しくて歌えなかった。
・演奏曲・・・「ツイスト・アンド・シャウト」、「ア・ハード・デイズ・ナイト」
雑感
今年の特色は毛色の変わったバンドが出演したことと舞台と客席を一つにしようという試みがなされたことでしょうか。マンネリ化しないための主催者側の努力は評価したいと思います。
トップバッターのJTKは二つのグループの代表選手がコラボレーションして別の味わいを発揮していました。春秋分点はこれまでのロックバンドとは趣を異にしており、往年のファン層には賛否が分かれるところでしょう。
客席を盛り上げて一体感を味わいたいという努力は舞台に立つ人なら誰もが行っていることですが、なかなか上手くいきません。演者のファンが観客席を埋めていれば簡単ですが、このコンサートの観客の大半はビートルズのファンであって、演者のファンではありません。
ビートルズの楽曲をコピーするなり、自分たちのカラーを発揮するなり、聴く人に感動を与えることができれば、自ずと観客も乗ってきます。小道具を使って無理やり合唱させようとしても白けるだけではないかという気がします。
腕を磨いた人だけがプロないしセミプロとして認められ、感動を与えることができます。このコンサートはアマチュアからプロまで幅広いグループが出演しています。広島のジョンを偲ぶ会としては身の丈に合ったユニークなコンサートかもしれません。
(2011.1.1 記載)