ジョンレノン・フォーエバー2008広島

7回目になる「ジョンレノン・フォーエバー2008イン広島」が12月6日にゲバントホールで開催されました。私にとっては今回が3回目となり、どんな風にこれから変遷していくのか楽しみにしています。
毎年、ジョン・レノン(命日12月8日)を偲んで催されるコンサートですが、全国でも各地で開かれています。東京では8日に第8回目のドリームパワー・ジョンレノン・スーパーライブが日本武道館で催され、1万3千人の観客が集まったようです。完全に定着して、年々盛会になっています。
一方、広島でのコンサートは盛り上がりに欠けてきたような気がします。私が最初に参加した5回目の時は、バルコニー席も一杯で、会場の熱気を肌で感じました。今回はクラシック音楽を聴いているような静寂さです。演奏が終わると精一杯の拍手はあるのですが、演奏者が拍子抜けするのではないかと心配するほどです。ロックンロールを聴いて、こんなに大人しいのは腑に落ちません。
今回はコンサートの内容紹介と共に盛り上がらない要因と対策について私案を述べてみたいと思います。

 チケット
チケット
 チラシ
チラシ
 開演前
開演前
 ジョニーアンドフレンド
ジョニーアンドフレンド
 ドクター・ロバート
ドクター・ロバート
 広島クラシックロッカーズ
広島クラシックロッカーズ
 リッキーと藤田
リッキーと藤田
エンディング
エンディング
 司会者
司会:出川氏

出演者

「イマジン」の曲が流れ、司会者出川氏の登場です。「ジョンの命日にあなたは何をしていましたか?」と客席に問いかけます。
私はニュースで悲報を知り、翌日アルバム「ダブルファンタジー」を買いに行ったことを覚えています。当時はまだジョンへの思い入れが弱く、死の事実を淡々と受け入れただけでした。
  • ジョニー・アンド・フレンド
  • 昨年は女性ボーカル2人を加えていたが、あまり評判が良くなかったからか、今回は男性5人編成。ジョン役がリーダーで、ポール役がMCを担当。
    初期のロックナンバー10曲を演奏。メンバー間でバランスよくボーカルをとるところはビートルズ流。この日はポール役のボーカルが冴えていた。
    演奏曲・・・「ア・ハード・デイズ・ナイト」、「エニタイム・アット・オール」、「ユゥ・キャント・ドゥ・ザット」、「ユゥ・ゴナ・ルーズ・ザット・ガール」、「キャント・バイ・ミー・ラブ」、「ノー・リプライ」、「ロール・オーバー・ベートーベン」、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」、「プリーズ・プリーズ・ミー」、「ヘルプ」

  • ドクター・ロバート
  • 今回が初出場。名前が示す通りメンバー4人のうち前列3人が外科医師だそうだ。2人が白衣を着て演奏。ポール役がMCを担当し、メインボーカルを取る一人主役のグループ。後半はピアノに向かって歌う。
    演奏の方はいま一つ。ジョン役が中央に位置し、白い台形のギターに電飾を付けて派手なパーフォーマンスをしていたのが印象的。
    演奏曲・・・「オール・アイブ・ゴット・トゥ・ドゥ」、「ベイビー・イッツ・ユゥ」、「オール・マイ・ラビング」、「レボルーション」、「抱きしめたい」、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、「レディ・マドンナ」、「レット・イット・ビー」、「ヘイ・ジュード」

  • 広島クラシックロッカーズ
  • このコンサートの中心的なグループ。今回はメドレー形式で突っ走った感じ。前半は日頃あまり演奏したことがないというビートルズ初期のロックナンバー6曲。石田氏と丸子氏のツートップのシャウトがよい。特に丸子氏のジョンスタイルの歌いっぷりがはまっていた。今日の二人のハーモニーは最高だったのではないか。
    後半はレノン・メドレー5曲でいつもの石田氏中心のボーカル。最後の「カム・トゥギャザー」のエンディングにジャズ風な演奏を付け加え、リードギターのテクニックを披露。今回は趣向を凝らし、なかなかの出来だったのではないか。
    石田氏は広島FMの音楽番組を持っているという。丸子氏はバンドリーダーでこのコンサートの主催者。60歳という。
    演奏曲・・・(前半メドレー)「ラブ・ミー・ドゥ」、「アイル・ゲット・ユゥ」、「P.S.アイ・ラブ・ユゥ」、「恋する二人」、「シー・ラブス・ユゥ」、「ア・ハード・デイズ・ナイト」
    (後半)「ストロベリーフィールド・フォーエバー」、「ヘルプ」、「ルーシィ・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」、「ドント・レット・ミー・ダウン」、「カム・トゥギャザー」

  • リッキーと藤田
  • トリは東京から招いたプロのリッキーと藤田氏。常連であり、一昨年と同じコンビ。リッキーは広島出身で、歌手活動40年というから60歳前後か?プロだけあって、二本のギターと二人のボーカルだけでも十分に聞かせることができる。
    特にリッキーはジョンに心酔しているようで、ジョン・スピリッツが伝わってくる。MCの中で、「ビートルズ・ファンも退職して元気をなくしているのではないか。表に出さなくても心の内では燃えて欲しい。」と語る。会場の盛り上がりの無さに苛立ちを覚えたのであろう。私も同感だ。
    4曲目の「チケット・トゥ・ライト」の時に、自然発生的に手拍子が起こり、だんだん大きくなった。「ミスター・ムーンライト」の時、さびの部分を一緒に歌うよう観客に誘ったが、乗った人は少なかった。私は声を張り上げたが、浮いていた感じ。
    演奏曲・・・このコンサートの趣旨を十分理解しており、ジョンの曲を中心に選曲。ジョージの命日に捧げて「サムシング」を挿入。今回は時間にゆとりがあり、リクエストも加えて計14曲も聞けた。稚内の歌として「ベイビズ・イン・ブラック」のワンフレーズを紹介したのは愉快だった。
    「スターティング・オーバー」、「ウーマン」、「マネー」、「チケット・トゥ・ライト」、「エイト・デイズ・ア・ウィーク」、「サムシング」、「イフ・アイ・フェル」、「ひとりぼっちのあいつ」、「アイ・フィール・ファイン」、「ベイビズ・イン・ブラック」、「ガール」、「イン・マイ・ライフ」、(リクエスト曲)「ミスター・ムーンライト」、「ビューティフル・ボーイ」

  • エンディング
  • 最後は出演者全員が登場して、観客も立ち上がり一緒に3曲歌う。観客も随分減っており、いま一つ盛り上がりに欠ける。歌い終わると「愛こそはすべて」が流れて退場する。
    演奏曲・・・「スタンド・バイ・ミー」、「ツイスト・アンド・シャウト」、「イマジン」

  • 司会者:出川氏
  • 出川氏は大学時代に演奏の練習で丸子氏にしごかれたそうだ。同期ということだから60歳前後。大学講師として「コミュニケーション」を担当することになったという。東京文化放送を退職されたのかもしれない。
    いつものように演奏者の入れ替えの時間を軽妙な語り口でつないでいるが、端々にこのコンサートの将来に対する不安が見え隠れする。今はビートルズ世代の過渡期に入ったといえる。どう引き継ぐかがこれからの課題となりそうだ。

なぜ盛り上がらないか

コンサートを立ち上げた頃のことを私は知りません。ビートルズ好きな人が集まり、出演者と観客が一体となって盛り上がったのではないでしょうか。私は最近の3回参加していますが、年々衰退しているように感じます。その原因を私なりに考察することにします。     
  • 観客の高齢化
  • このコンサートに足を運んでくる人は基本的にビートルズ・ファンであろう。ファン層が幅広いとはいえ、リアルタイムの団塊世代が核となっている。その世代もそろそろ還暦を迎え、退職者が増えていく。リタイアすると急に元気がなくなる傾向にある。
    足が遠のく人もいるであろう。周りの人を誘っていた人も一人で参加するようになる。もともと熟年のファンは一人の観客が多いが。

  • 出演者の高齢化
  • 出演者も年々年を重ねていく。スタート時に50歳前半だった人は60代に突入する。体のあちこちにガタがくるし、周りから亡くなる人も出てくる。気分は若くとも哀愁が漂ってくる。
    そのムードは聞き手にも伝播する。観客と出演者が高齢化すると会場の雰囲気が盛り上がりにくくなる。

  • 観客数が少ない
  • 今回は開演前でおよそ70%の入り。終わりの頃は50%ぐらいか?観客を分類すると次の通り。案内が無くても参加を決めている固定客。固定客に誘われて同伴する人。出演者から声をかけられたファン層。マスコミ等で知った一般のビートルズ・ファン。
    固定客に頼りすぎると段々減少する。私は2年前に新聞でコンサートのことを知り、今は固定客となる。私の周りにビートルズ・ファンがいないので、いつも一人で参加している。アベックも多いが、親子で来ている人も見かける。今回は若い女性が少なかったのでは?

  • 出演者数が少ない
  • これまで4〜5組のグループが持ち時間30分程度の演奏で入れ替わる。初出場は1組程度。グループにはファンが付いているから、グループ数が増えればその分観客は増える。
    出演希望者が少ないのか?出演できるレベルのグループが少ないのか?その実態は知らない。

  • コンサートの趣旨が浸透していない
  • 好きなビートルズの曲が聴ければ、それでOK。その場限りで後に何も残らない。仲間内だけの趣味の世界ならそれでも構わない。
    「ジョンレノン・フォーエバー・コンサート」と銘打つ限りは、ジョンの意志を引き継ぐものであって欲しい。市民にも賛同を得られるような社会性のあるコンセプトを打ち出すべきである。趣旨が浸透すれば、自ずと輪が広がる。

  • マンネリ化
  • 同じメンバーが毎年同じようなことを繰り返していれば、観客も出演者も飽きがくるのは道理である。テーマが同じならコンサートの内容や出演者にバラエティがないと長くは続かない。同じテーマでも何か目標があれば、その達成のために頑張ることができる。

対策

現状及び問題点がしっかりと把握できれば、対策を立てるのは容易です。問題は実行できるかどうかです。   
  • アンケート調査の実施
  • ・次回のコンサートで観客にアンケートを実施する。観客の年齢・男女別・職業・参加のきっかけ・コンサート内容・感想や要望等の記入を依頼し、観客の実態とニーズを把握する。
    客層の傾向や動向・意向が分かると同時にコンサートの趣旨を周知させることができる。

  • 社会に還元(チャリティにする)
  • ・コンサートの趣旨を明文化し、ビジョンとして掲げる。『愛と平和』といった抽象的な文言ではなく、愛と平和を表現する具体的な形を提示する。オノ・ヨーコのドリーム・パワー・スーパーライブがやっている「小学校建設」のような形に残るものが良い。
    ・チャリティにすればマスコミも応援しやすく、市民の認知度が高まり、結果として参加者が増える。身の丈に合った広島ならではの、ほのぼのとしたチャリティがよい。コンサートに参加することにより社会に少しでも寄与できると思えば、立派な動機付けとなる。例えば、12月だから子供達へのクリスマス・プレゼントでもよい。毎年、市内の幼稚園の数箇所にプレゼントを送る。

  • 出演者の幅を広げる
  • ・観客動員を増やすためにも、マンネリ化しないためにも、出演者の数を増やす。ビートルズのコピーバンドだけでなく、他のジャンルのアーチストにも門戸を広げる。
    当面の目標として、1グループ5曲程度の演奏にし、グループ数を倍に増やす。核となるグループは必要だが、半数は入れ替え、絶えず新鮮さを保つ。

  • 広報を強化
  • ・これまで一般向けの広報があまりなされていない。潜在的なビートルズ・ファンは多数いるので、掘り起こしをする。
    観客数が増えれば、会場も満席となり、否が応でも盛り上がる。

  • 総合プロデューサーを置く
  • ・個人に頼るのではなく、主要グループのメンバーが集まり、組織的に活動する。組合のようなものを作り、役割を分担し、総合プロデューサーが全体をコントロールする。

  • 中期計画を立てる
  • ・2009年(第8回):?常連出演者に趣旨を説明し、理解と協力を得る。?企画運営会議を結成。?コンサート会場でアンケート調査を実施。
    ・2010年(第9回):?アンケート調査の結果を踏まえ、ビジョンを発表。?チャリティを実施。例示、入場料を500円上乗せし、500円×300名=15万円を集め、3万円分を5箇所に配る。
    ・2011年(第10回):?新生コンサートのスタート。?出演者数を10に増やす。?会場を西区民文化センター等(定員600名)に移す。?寄付金の目標を500円×600名=30万円に引上げる。

雑感

このコンサートの主催者丸子氏から私の掲示板に投稿がありました。昨年の 「ジョンレノン・フォーエバーイン広島」を読まれて、「何が足りないか」意見が欲しいとのことでした。その回答になればと思い、全くの部外者である私が好き勝手なことを書かせてもらいました。

せっかく7回まで続けてきたコンサートを終わらせるのは勿体無いという思いがあります。今のままこじんまりと楽しむのも一つの選択ですが、志を高く掲げて次の世代につなげていこうというのが、今回の提案です。ドリームパワー・スーパーライブの物まねをする必要はありませんが、広島らしい情報を発信できればと思います。

このコンサートの趣旨を明確にし、出演者にも観客にも周知し、全員に参加意識が持てるようにします。自分達がこのコンサートを盛り上げ、楽しみ、かつ、社会に貢献しているという達成感・充実感が味わえるイベントに育てることが目標です。

この目標を達成するには相当の熱意とパワーが必要です。広島のビートルズ・コピーバンドを束ね、裾野を広げて才能のある者を掘り起こし、全体のレベル・アップを図れるようなシステムが作れないでしょうか?昔の「広島フォーク村(よく知らないのですが)」のような緩やかなグループの集合体を上手に組織化し、大きな目標に向かって結束できる仕組み作りが求められています。

  (2008.12.15 記載)

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