アイデアコンペのメイキング(11)

報告書の作成

前回は公開討論会について記述しました。今回はアイデアコンペの成果をまとめた報告書の作成について記述します。 但し、私の目から見たメイキングであることをお断りしておきます。

第11章 報告書の作成

    ちらし2記事
    チラシ(提案者用)
  • 目的
  • ・提案者の中には、最優秀を取って、その提案を実現させるために、市の方に働きかけて欲しいという方もおられました。
    ・新聞記者からも、コンペの入選結果をどうするのか?という質問を多く受けました。旧市民球場跡地利用で騒がれているので、入選作品の行方に注目が集まるのは当然かもしれません。
    ・私たち主催者は実現させるためにアイデアを求めたのではなく、市民に考えてもらうための素材としてアイデアを求めました。
    ・このコンペの成果をまとめた報告書も、市の方に参考にしてもらえればという趣旨で提出しましたが、本来の狙いは市民に幅広く見てもらい、自らのこととして考えてもらうことが目的です。

  • 作業
    • 公開討論会
      公開討論会
    • 録音起こし
    • ・録音起こしには悪戦苦闘しました。会場で速記し、録音で確認しながら修正するのが本来のやり方です。
      ・聞き取りにくい箇所があるし、街宣車が走っている時には全く聞き取れません。会場の音響環境が悪かったのも一因です。
      ・何度も録音を再生しながら、文章にしましたが、読み返すと文章になっていないところが多くあります。
      ・全く手を加えずに、発言者に修正してもらうのも失礼かと思い、ある程度はこちらで修正したものをメールで送信し、チェックをお願いしました。
      ・3時間余の録音時間ですが、最初の文章化に2週間程度かかったのではないでしょうか。

      作品展示
      作品展示
    • 提案作品の分析
    • ・旧日銀での総括的な作品展示会を行うのに、作品番号順に展示するのも芸がないと思い、コンセプトのテーマごとにまとめて展示することにしました。
      ・テーマ別の分布状況を分析し、テーマごとの代表事例を整理しました。広島における平和をどう捉え、どう具現化しようとしたか大まかな傾向が掴めます。
      ・また、公開討論会でこのエリアの地域特性について議論していたので、それぞれの地域特性に対してどのように提案されているか整理し、分析しました。
      ・コンセプトというより個々のアイデアが優れたものも参考になるので、ピックアップしました。

    • 実行委員会のまとめ
    • ・公開討論会での特別審査委員と入賞者の意見を整理し、提案作品の分析を踏まえて、実行委員会として報告書のまとめをしました。
      ・実行委員会の意見としてまとめることに少し抵抗がありましたが、いろいろな意見を言いっ放し、提案しっ放しで終わらせたのでは、社会に対してアピールができません。
      ・批判の声が出ることも覚悟の上、このエリアの将来の姿として一つの具体的な方向性を提示しました。
      ・その提示も決して他の人に押し付けるものではなく、実行委員会として主体的に判断してまとめたものです。

    • 報告書の構成
    • ・アイデアコンペの流れに沿って順にまとめるか、結論的な内容を先に持ってくるか議論になりました。マスコミ関係者やアイデアコンペに関わった当事者は説明的な内容は飛ばして結論を先に読みたくなります。
      ・しかし、この報告書は市民に幅広く読んでいただくのが目的なので、初めての人が読んでも分かりやすいように、流れに沿って丁寧にまとめることにしました。
      ・第1編は「アイデアコンペはこう進められた」、第2編は「アイデアコンペを通して考えること」、最後は資料編で構成されています。

  • 報告書の提出
  • ちらし1
    チラシ(投票者用)
    ・12月の上旬には報告書もほぼ完成しました。市の方も年末は多忙であろうということで、市の担当窓口に提出の日程調整のメールを12日(月)に送りました。
    ・そのメールに報告書の骨子部分を添付しました。事前に内容を把握してもらっておいた方がよいであろうという親切心です。
    ・その親切心がアダとなりました。添付文書の容量が大きすぎて、3(?)MBを超えるメールは市の方で機械的にはねられるようです。
    ・なかなか返事が来ないので、痺れを切らし、こちらから16日(金)に電話を入れました。そこでメールが届いていないことを知りました。市から翌週の19日(月)11時30分から約30分ならOKとの連絡が入りました。
    ・市庁舎の14階第1応接室で、市の方は公園整備課長と補佐及び旧市民球場跡地利用担当課長の3人、こちらは会長と私の2人です。
    ・市の方からは冒頭ねぎらいの言葉があり、こちらからは報告書の概要を説明し、後は雑談で終始しました。市の担当者は報告書の内容についてコメントする権限を持ち合わせておらず、ただただ聞き置く姿勢を貫かれました。
    ・最後に、市長は不在ということなので、報告書を市長に手渡してもらうよう念を押して別れましたが、どうされたかは知る由もありません。

雑感

報告書が市役所内でどのように扱われたか?は想像するしかありませんが、役人の性として上司に相談して対応を決められたと思います。
問題は市長まで上がったかどうかです。私どもの会長が何度か市長宛に手紙を出し、それを受けて市の担当者から私の方に連絡・質問等が来ていたので、市長にはアイデアコンペの報告書が手渡ったものと確信しています。
市長がこの報告書を読まれて、どう感じられたかは分かりません。ただ、その後の発言等で「広島は恩返しをしなければいけない。」という文言が現われたことは、多少の影響を受けられたのではないかと推察します。

市の方に報告書を提出する日程に手間取ったため、記者レクのタイミングを逸してしまいました。日程が決まった段階で、報告書提出の報道記事を市政記者クラブに投込む予定でした。そして提出直後に記者会見を行いたいと思っていました。
何人の記者が集まってくれるかは二の次で、とにかくマスコミにアイデアコンペの成果について公表しようと考えていました。
しかし結果は、日程が決まってから提出日まで日がなく、提出後の記事投込みとなりました。報告書の抜粋も資料として添付しましたが、反応は全くありませんでした。年末の忙しい中、それどころではないということでしょう。

次回は、最後になりますが番外編について述べる予定です。   

*ちょっとコーヒーブレイク : 『平和記念都市ひろしま

  (2012.8.15 記載)
前のページ
inserted by FC2 system