広報のターゲット
広報の鉄則はターゲットを設定して、その人達に届くようにすることです。いろいろなルートをうまく織り交ぜながらバランスよくアクセスすることです。
しかし、広報の中身が空っぽなら、誰も見向きもしてくれないでしょう。情報発信する内容を吟味し、注目を浴びる形にプレゼンテーションすることも大事です。
- 応募者のターゲット
コンペに応募する人は広島を少しでも良くしたいという情熱を持ち、その情熱を表現できる人であろうと思います。
志の高い建築家や都市計画家及びその卵(学生達)か市民の中でも将来の広島に夢を描いている人であろうと思います。
- 投票者のターゲット
応募したいけど、表現できる力が及ばない人は審査する側に廻ってもらえる可能性が高いと思います。また、一般市民も広島に愛着を持っている方が多数おられるでしょうから、その人達を味方につける必要があります。
協賛を審査資格の条件にしていますが、協賛する手続きをいとわない魅力がアイデアコンペに備わっているか否かが問われます。
- 団体協賛者の募集
一般市民からの協賛だけで実施できるのが理想ですが、財政的な事情を考えれば、大口の団体協賛者に頼りたくなります。
しかし、今回は市民参加型のコンペと銘打っているので、極力、団体協賛に頼らない方向で努力しなければなりません。
手段及びツール
広報はマスコミから口コミまで多種多様なメディアやツールを用いて日常的に行われています。
現在、東日本大地震の報道が満ち溢れ、悲惨な情報に接するたびに胸を痛めています。主にテレビ、ラジオ、新聞等のマスメディアからの情報です。最近はパソコンが各家庭に普及しており、インターネットからの情報入手が増加傾向にあります。また携帯電話は個人が所有しており、情報収集の強力な武器になりつつあります。
その他にもタウン誌や団体組織の機関紙、広告用のチラシ等もあり、情報はネットワークにより末端まで伝達できる環境が整っています。
- 一般共通の広報 ・アイデアコンペのHPを開設し、公募要綱等を広く世界に公表する。HPは待ちのスタンスだから、アクセスしてもらえる動機付けが必要となる。
- 応募者向け ・応募者のターゲットは限られているので、建築関係の団体や大学に向けて情報を提供する。場合によってはピンポイントで目ぼしい人にメールを送る。
- 投票者(個人協賛者)向け ・市民の参加は一般共通の広報でどれだけ広く市民に浸透させることができるか。コンペの存在を知ってもらうだけではなく、協賛の手続きまでしてもらえるか否かが高いハードルである。
- 団体協賛者向け ・関係団体等に足を運んで、お願いの一手しかない。コンペの趣旨さえ理解してもらえれば、無理のない程度の協力はいただける。
・マスコミ等に記事を投込み、テレビや新聞等に取り上げてもらう。話題性がなければ、相手にされないので、提供する材料を吟味し、タイミングを図る。
・広告用のチラシを作成し、市民の目に触れることによりコンペへの興味を惹きつけてHPへのアクセスを促進させる。
・市民の参加は一般共通の広報でどれだけ盛り上がりを起こすことができるかに掛かっている。
・友人・知人を通じて輪を広げていくと共に、もう一つインパクトのあるアクションを起こし、市民の心に点火して、ムーブメント(ブーム)を誘導する。
・一般共通の広報で関係団体等に周知されていれば、協力も容易になるであろう。
ケーススタディ
- 一般共通の広報 ・HPはトップ画面に提案参加者向けと投票参加者向けの窓口を設けて、投票参加者向けは分かりやすい表現に努める。
- 応募者向け ・全国の建築学科を有する大学・高専等にチラシを配布すると共に担当教授等にメールを送付する。
- 投票者(個人協賛者)向け ・まちづくりNPO関連の団体に協力要請をし、チラシ等を配布する。
- 団体協賛者向け ・建築関係団体(建設業、設計事務所、メーカー等)を窓口にし、傘下の主だった企業に協力を要請する。
・マスコミ等への広報は一般紙、業界紙、テレビ局等へ記事の投込みを行い、取材等には丁寧に対応する。テレビ等にも要請があれば、積極的に対応し、PRに努める。
・チラシは市民向けにターゲットを絞り、投票参加を促すことを狙いとする。チラシからHPアクセスに誘導するキャッチーなコピーとデザインを目指す。
・建築関係の団体等の機関紙に掲載依頼すると共に総会等の行事にチラシの配布を依頼する。
・建築関係のメルマガのイベント欄にコンペ概要が掲載されるように原稿を投稿する。
・第一線で活躍している建築家等に直接協力依頼のメールを送付する。
・区民センター、公民館、図書館等、市民が集まる場所にチラシ等を配布する。
・広島市等の広報ツール(広報紙・メルマガ等)、タウン誌に協力を要請し、記事の掲載を依頼する。
・フラワーフェスティバル等のイベントに参加すると共にチラシ配りをする。
・マスコミ企業に後援依頼、協賛依頼を行う中で、コンペの趣旨を説明し、テレビ・新聞等に取り上げてもらう。
・知人・友人間、NPO間、団体組織間のネットワークを最大限活用する。
・商工会議所、ライオンズクラブ等を窓口にし、地元の主だった企業に協力を要請する。
雑感
今回のアイデアコンペが成功するか否かの鍵を握るのは広報です。いかに市民に声をかけて振り向かせるか。振り向いてもらうだけでは意味はなく、投票に参加するか、提案に参加するか、具体的なアクションを起こしてもらえるか。
提案参加の方は賞金等の動機付けがあるが、投票参加は協賛金を払ってまで参加するメリットがあるだろうか。余程の意識の高い人でなければ、常識的には困難であろうと思います。
しかし、一石を池に投じることにより波紋の輪が広がっていくように、アイデアコンペの趣旨を理解する人々の輪が広がる可能性があります。広島市の町を良くしたいという思いは多くの市民が持ち、町づくり関連のNPOも多数存在しています。
何かのきっかけでアイデアコンペが盛り上がり、広島の町を良くするための市民運動につながることを願っています。その何かは、人の心を突き動かす衝撃であり、志の高い行動と効果的な広報によりもたらされるものです。
まちづくり関連のNPOが再編され、一つの目標に向かって連携強化されることが望まれます。建築についても市民の理解が深まり、広島らしい佇まいが形成されることが望まれます。平和記念都市の理念が市民の心に浸透していけば、可能になってくると思います。
そのような成果が生まれることを期待して、今回のアイデアコンペに挑戦することにしています。
(2011.4.1 記載)